忘れられない,上海パブちょっと探訪記 |
|
40年生きてきて、初めて中国に足を踏み入れた。これまで世界中のチャイナタウン、シンガポール、台湾には行ったが、「本土」は初めて。たった5日間の会社の研修旅行だったので、ほとんどパブは回れなかったのに加え、例の問題であまり伸び伸びと動けなかった。在住者にせっかくいろいろ教えていただいたので、情報だけでも皆さんにお伝えしたいと、まとめてみました。 ■ Contents 1 抜き足差し足・・・ 2 冷たかったらラッキー!? 中国のビール事情 3 上海いち古いブルーパブへ 4 世界中どこにでもある「アイリッシュパブ」 5 アジアの都会にはスポーツパブも多い 6 上海パブ・ビール情報 |
1 抜き足差し足・・・
出発日が2012年9月11日だったっていうのも、何かイヤな予感はしていた。羽田行きリムジンバスに乗るため、調布駅までタクシーで向かったのだが、タクシーの運転手が話好きな人で、「どちらまで? へ? 中国? あちらは愛国無罪なんて言いますからねえ、怖いですよね〜」などと余計なことを言ってくるし。9月に入ってから、尖閣諸島問題で日中の動きがぎくしゃくしていたので、研修に向かう3名のメンバーで、「どうする?」などとささやきあっていたが、「こういう時期に行くからこそ見えてくることもあるだろう」なんて前向きに考えてしまった。出発前、小1の一人娘が「パパがキョンシーに襲われないようにお守り作ってあげる」と「とまれキョンシー」と書いた「お守り」を持たせてくれた。どうやらキョンシーの顔に貼るあの御札のつもりらしい。それを、カバンのポケットにそっと忍ばせ、上海の空港に降り立った。
着いた翌日、9月12日に野田総理が国有化に調印したため、13日には上海をはじめいくつかの都市で日本人がラーメンをかけられたり、蹴られたり、という嫌がらせ・暴行をうけた。
でも、僕らはそんなことはつゆ知らず、その日は南京東路という、東京で言えば銀座みたいな繁華街を歩き、香港人と名乗る美人集団に「一緒に遊びに行きませんか?」などと声をかけられ、鼻の下を伸ばしていたりした。(お茶セミナーとかに連れられて、高いお茶を買わせるとかのセールス系だと思うので、もちろん、丁重に断りましたが(^^ゞ))
その日宿に帰ってYahoo! ニュースなどを見て、みんな青ざめた。13日に回ったところは、外灘とか豫園とかの日本人観光客が多い繁華街ばかりだったので、僕らにも同じことが起こった可能性は十分にあった。むしろ、こういうのは大使館に報告があった事例だろうから、本当はもっと小さな、罵声を浴びせられるなどのことは多数あったのだろう。そういう目に一切合わなかったのは、相当のラッキーだったと思っていい。娘のお守りのおかげだと本気で思っている。
ニュースと言えば、上海の地下鉄ではテレビがあり、当時はひっきりなしに尖閣問題のニュースが流れていた。そのそばで大声で日本語で話そうものならまさに自殺行為だが、その行為を普通にしてしまっていたし・・・。ちなみに、書店で学校で使う地図帳を見ると、もちろんかの島は「釣魚島」として、しっかり中国の領土となっていた。教材によっては、「釣魚島はどこでしょう?」などと探させて、自国の領土であることを刷り込ませたりもしているそうだ。
↑外国人がわっと集まる繁華街「南京東路」
↑アメ横みたいな市場「豫園」の、いちばんディープな、地元客しか歩かないゾーンを歩いていました・・・
↑上海の地下鉄構内。ちょっとわかりづらいですが、左から2番目の男性の頭の上あたりにもテレビ画面がある。今考えると、こんな写真を撮っていたことも、けっこう危険だったなあ・・・。ちなみに、この写真のとおり、床に、降りる人は真ん中、乗る人は端から、みたいなガイドラインがあるのですが、誰も守ってなかった。降りる駅に来ると、ドアのそばに寄っていないと、先に乗ってくる人のせいで降りられなくなることもあるそう。台湾やシンガポールでは、日本と同様、皆整然としていたけど・・・。
ということで、その翌日14日は、借りてきた猫みたいに、繁華街はそうっと歩き、値切れるものもいっさい値切らず、言葉少なに定価で買い、地下鉄では無言で・・・、とスパイみたいな気分で街を回った。研修日程はこなし、街も一応ちゃんと見てきて、研修の目的は果たせたが、現地の人との交流を絶ってしまうと、その国にきた意味が半減してしまうんだな、と改めて思った。
2 冷たかったらラッキー!? 中国のビール事情
このように、事故こそなかったものの、消化不良で終わった上海研修旅行だったが、これを機会に上海のパブ事情を少しだけ調べてみた。
2006年に「世界ふれあい街歩き」で、青島ではビールが常温で量り売りされているのを見た。
http://d.hatena.ne.jp/terryspub/20060712
中国では常温でビールを飲むのも当たり前。最近、都会の店では冷えたビールが置いてあることもあり、ビールを注文すると「冷えたの? 常温の?」と聞かれる。僕は豫園の鍋料理の店で、冷たいほうという代わりに、ブルブルっと震える真似をして笑いをとってしまった。
さて、事前に「クラフトビール 上海」とかで検索したら、下記のブログがヒットし、
http://plaza.rakuten.co.jp/chisa21/diary/201106120000/
その上海在住のChisaさんにいろいろ教えていただきました。このページもほとんどがその情報に基づいて作成させていただいています。
まずは、ここ「上海ナビ」にパブ・ビール情報がかなり詳しく載っています。
http://www.shanghainavi.com/special/5035033
↑これはコンビニのビールラインナップ。台湾と同じく、日・中・外の3社ある。日はサントリーやアサヒブランドがメイン。もちろん現地で醸造しているので味は少し違う。Chisaさんによると、中国は大きすぎるので、全国に流通するナショナルブランドが存在せず、それぞれの地方のビール工場がその地方のビールを醸造しているのだとか。
↑こちらはスーパー。外国人が多く住む地域のためか、輸入ビールが多かったが、値段は日本とさほど変わらず。台北同様、中国産だけは、100円足らずと安かった。
3 上海いち古いブルーパブへ
Chisaさんによると、中国のビール文化は、他の国には及ばず、地元でしか飲めないエール、いわゆる地ビールのようなものはほとんどないのではないか、ということだった。ちょうど研修で近くを通ったので、昼食のため上海で最古のブルーパブに行ってみた。
↑南京東路や外灘から近い、超一等地にある。
↑値段は300mlで48元(約700円)と、安くはない。
↑その日はちょうど煮沸釜の洗浄をしていた。ここでしか作っていないので、設備はフル稼働させなくてはいけないのだろう。
↑種類はラガーとダークの2種類。カウンターでは英語をしゃべる中国人のバーマンに、「日本人? 今例の問題で大変だね」とにこやかに言われた。「うちは、上海で一番古いブルーパブで、こういうブルーパブは、とても少なく、5つくらいしかないと思うよ。」と教えてくれた。
↑メニューにはビールの醸造工程もあった。このロゴからしてハイネケンの傘下にいるとか何か関係があるのもしれない。
■The Bund Brewery
http://www.shanghainavi.com/food/165/
4 世界中どこにでもある「アイリッシュパブ」
アジアのどこかに旅する前に「ブリティッシュパブ」で検索するとさほどヒットしないが、アイリッシュパブで検索すれば、必ずと言っていいほどすばりの店がヒットする。上海は、下記の店しかヒットしなかったが、実際にはあと10店くらいはあるだろうと言われた。
地下鉄10号線、上海図書館駅から徒歩7分くらいの場所にある、アイリッシュパブ、O'malley's。ここもたまたま研修での行き先に近かったので、昼食と打ち合わせのため利用することができた。
建物の前に30人くらいが飲めて、アウトドア立食パーティでもできそうな広いテラス席があり、中も全部で200名以上入るような、1,2F合わせて10部屋くらいあるつくり。「こじんまりしたアイリッシュパブ」とは正反対の、大きなハコの店だった。1996年にオープンした当時はアイリッシュミュージックの生演奏があったりして、本格的なアイリッシュ路線を目指していたそうだが、最近はスポーツバーになったきたとのこと。
→フランス租界時代の邸宅をリノベーションしたという。
↑確かにしつらえは本格的な作り。
↑2Fにも本格カウンターが。
↑左からクローネンベルグ1664、カールズバーグ、アサヒスーパードライ、キルケニー、ギネス
↑まずはアイリッシュということでキルケニーを。
↑次にクローネンブルグ1664(フランス)を。どうせこれを飲むならレモンの香りが心地よいブランにしたいのだが、この日はあいにくブランの方はなかった。
↑チキンフライと、ミニハンバーガー
↑2Fのカウンターにはカールズバーグ(デンマーク)やステラアルトワ(ベルギー)もあった。アイリッシュパブらしく、ビールはインターナショナルだ。
↑パブの由来が。母体はダブリンにある。
↑不要な被写体が入ってしまってすみません(^^ゞ わかりづらいですが、これが建物の入口。手前がテラス席、で店名のロゴの上は、2Fのテラス席になっている。
■Omalley's Irish Pub
http://www.omalleys-shanghai.com/web/
5 アジアの都会にはスポーツパブも多い
泊まった場所「浦東新区」では、「スポーツパブ」をいくつか見かけました。もちろん、南京東路などの繁華街にもあります。
本場パブほど内装は本格的ではないが、TVでサッカーなどを放映し、皆が観戦しながら飲みに来る、いわゆる「スポーツパブ」はここ上海でも多いみたいです。シンガポールも台北も同じでした。当然、入って飲む時間はなかったですが、タッチアンドゴーで中に入ってパチリ、と怪しい行動をしてきました。
↑クローネンブルクはけっこう上海ではメジャーだった。
↑外国人が多く住んでいるエリアなので、外国人も多かった。
↑ここは上の店と数軒となり。多すぎないか。ちなみにThe Red Lionはイギリスのパブではいちばん多い店名。
↑ここも、さっきのアイリッシュパブとビールはほぼ同じ。
6 上海パブ・ビール情報
Chisaさんに、教えていただきました。
今回は行きませんでしたが、次回はトライしたいな〜。
行った方は、ぜひ教えてくださ〜い。
「Boxing Cat Brewery」
http://www.shanghainavi.com/food/381/
「Dr. Beer」
(店名、上海、で検索するとブログ記事などヒット)
「Shanghai Brewery」
http://www.shanghaibrewery.com/
世界各国のレストラン、バーがあつまるストリート虹梅路の休閑街(老外街)にあり、で、外国人がたくさんい
るそうだ。
「Jackies' Beer Nest」
http://www.beernest.com/
地下鉄8,10号線 老西門駅近く
(近くにアンティークストリートがあります)
オーナーはビールに非常に詳しく、一晩語りつくせるほどだそうです。
「Kaiba」
http://www.kaiba-beerbar.com/en/location.aspx
100種類以上のビールがあっておすすめとのこと。
それにしても・・・シンガポール、台湾、上海と最近、アジアのパブを巡ることが多いが、僕は「旅行者でも地元の人でも、誰とでも打ち解けられる店」を求めて行っている。そういう意味ではパブは世界中どこにでもあるし、なにせ古代ローマにも居酒屋があったくらいだから、太古からの貴重な文化なわけだ。これからも、探し続けるぞ!
それより・・・研修とか仕事の合間じゃなくて、本格的にゆっくりまわりたいなあ・・・。
(2012年10月15日Up)