チェーン店とファミリーパブの増加
現在のイギリスのパブは2極化が進んでいると
言われています。すなわち、昔ながらの
トラデショナルパブが残る一方、
都市部を中心に若者・女性・家族を
ターゲットにしたパブが増えています。
■ロンドン・大都市はチェーンパブが台頭■
ロンドンの町を歩いていると、最近は、大手パブチェーン店によるパブが目につく。Bass社の「オール・バー・ワンAll bar one」がその代表だが、ここはワインの種類や瓶入りカクテル、料理を充実させ、店内の雰囲気を採光を多くとりおしゃれにしたことで若者や女性客の人気を集めている。Whetherspoon社系列のチェーン店は、内装もトラディショナルパブ風に落ちついて、音楽もないので、正統派パブを好む人にはぜひオススメだ。(詳しく知りたい人は、WhetherspoonファンのReading在住・加納千賀子さんへメール)Whychwood社のホブゴブリンHobgoblinnもそんなチェーン店の一つだが、2001年にイギリス以外の初のホブゴブリンが、東京・赤阪にオープンした。
ちなみに、パブチェーン店で、今一番の大手は、野村證券の現地法人、野村インターナショナルだ。
▲All Bar One(Leicester Squere) 最近できたレスタースクエアの一角の店。
料理は充実し、カウンターの後ろにはワインが並び、店内は若者であふれている
■ファミリーパブの増加■
もう一つの、ここ数年の特徴と言ったら、特に地方都市でファミリー・パブが増えたことだ。
以前は、14歳以下の子どもはパブに一切立ち入ることはできなかった。(パブリカンの家族であることや、トイレなどの緊急事態は例外だったそうだが)しかしそれでは休日をパブで楽しみたい家族や、旅行で訪れた家族はパブに入ることができない。家族ぐるみでパブを楽しめる制度が、ここ数年定着しつつある。
この認可は、14歳以下の子どもでも保護者同伴なら夜9時前までいられるというもの。
その認可の条件とは
1 庭などに子どもの遊戯施設があること
2 禁煙席があること
3 学校がある時間帯は、子どもの入店を拒否すること(不思議なこと外国からの旅行者でも不可らしい)
4 子どもがいるときはドミノDominoをやらないこと
などだそうだ。…そんなに子どもに影響悪いのか、ドミノは?
BLRAのホームページによると、The Children's Certificateと呼ばれる、この1995年から始まったこのファミリーパブの認定には、EnglandとWalesのパブのうち、65%のパブが興味を示してはいる。だが、実際には、認定パブは4%にとどまっているとのこと。(いつの調査かは記されていない。現在は、作者の感覚からしても、もっと多くなってきたように思われる)
ちなみにスコットランドでは、1991年からこの制度が導入され、実に20%のパブが認定を取得したという。
最近、人々の外食への需要、パブ経営の巻き返しのために、このようなパブが認可されるようになった。大手のビール会社のタイドハウス、チェーン店のパブ会社所有のパブに多く見られる業態だが、どこにも属さない、完全に個人経営のパブ(フリーハウス)でもこの認可を受けているところがある。それだけ、「休日は家族みんなで外食」という文化が根付いてきたということなのだろう。
これらの現象は、かつては「男の隠れ家」だったパブが、女性が許可され、いまや子どもまで認められた。こういった「パブの大衆化」は、ますます進み、パブの存在をポピュラーにし、ビールやワイン、そして外食文化を活性化させてはいる。日本のように、「週末は家族揃ってファミレス」的行動パターンが、イギリスでも今後ますます進んでいくだろう。一方で、昔ながらのスタイルのパブがなくなりつつあるのを残念に思うのは、古きよきイギリスに憧憬を感じる、外国人としての勝手なノスタルジーなのだろうか。
The Hog'shead(Nottinghamshire) このように、広い庭に大きな滑り台や
ブランコなどがあり、子どもたちは大人が飲んでいる間、ここで遊ぶことができる
▲奥の仕切りの向こう側(○印内)は禁煙のファミリー席。
子どもが外で遊んでいる間、3人のお母さんがおしゃべりに興じている
(Suffolk punch,Buckinghamshire,UK)
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