日本でのリアルエールの可能性

私が、今一番興味があること。
リアルエールは、日本に輸入できないのか、そしてカスクコンディションでビールをサーブする醸造会社は現れないのか。ビールに関する著作も多数の専門家、ビアテイスターの田村功氏に聞いてみた。

Q日本にリアルエールが輸入できるか

A 日本にエールビールを輸出するには工場出荷後2日以内に東京のパブに届き、熟練したセラーマンによって地下室で二次発酵のケアをするシステムが完備されていなければなりません。そうすると輸送コストがべらぼうにかかり、1パイント2,000〜3,000円で売らないとペイしないでしょう。熟練したセラーマンも日本にはいないので、現実的には難しいと思います。

→そうですか、やはり運んでからの管理が命ですものね、カスクは。

Q 日本でリアルエールが醸造されるか

A その可能性は大いにあります。地ビールメーカーの中にはカスクコンディションに興味を持っている会社がたくさんあります。またそうしたビールをつくる技術を持つブルーワーもおります。カスクやアインシングラスもイギリスから輸入できるようになりました。少なくとも私が醸造指導しているいくつかの地ビール会社では、すぐにでも醸造できる体勢にあります。

問題は、パブで二次発酵と熟成を監視するセラーマンがいないことです。イギリスでも不足していますから、あちらから連れてくることも困難な状態です。一人前のセラーマンになるには、パブで修行して10年かかるといわれています。しかし、将来は日本でもイギリス以上の美味しいカスクコンディション・エールがつくられ、適正な状態で飲むことができるようになると、私は信じています。

→セラーマンはパブで10年の修行ですか!? 職人芸ですね、まさに。

…というわけで、もう少し待たなくてはならないようだが、不可能ではないということだ。喉を乾かして、待っていることにしよう。
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