The Real Pubs



 最近とくにめまぐるしいパブ業界、数年ぶりに行ってみたら、オーナーが変わっていた、なんてことはよくある。個人経営店がパブ会社のチェーン店になった場合がほとんど。日本で言えば酒屋さんがコンビニエンスストアに変わるようなものだ。
 そんな中、「このパブなら、少なくとも自分が生きている間は変わらないだろう」と思える店がある。歴史、経営母体、こだわり・・・理由は色々あるが、共通して言えるのは、「本物」であること。僕はそんなパブを Real Pub と呼びたい。いくつかを紹介しよう。


White Horse


Person's Green駅から歩く

5種のリアルエールが並ぶ

 同名のパブはイギリスにごまんとあるので、うしろにat Persons Green(所在地)を付けて呼ぶことが多いが、CAMRAの会員なら不要かもしれない。
 あいにく、オーナー、Mr.Mark Dorberとは会えなかった。渡英して最初の目的地をそこにしていたため、時間の読み違えで約束時間よりも1時間遅れて到着してしまった。姉(妹)のJane Dorberが快く応じてくれた。バーマネージャーの男にセラーを案内してもらった。セラーに入った瞬間、彼は言った。「ここにホワイトホースのすべてがある」聞くとリアルエールを保存する部屋は2つあり、それぞれ12度と10度に保たれていると言う。いままでいろんなセラーを見てきたが、複数に分かれ、しかも異なった温度に設定されているのは初めてだ。12度のほうは、ケグビアもキープされているとのこと。どちらかというとケグビアのほうが冷たくサーブされると思うので、ひょっとしたらカウンター下で瞬間冷却を通すのかもしれない。

◆置いてあったりアルエール
ここにはHeavy’sのSussex Best Bitter、Fuller's ESB, Rooster's Yankeeなど会社も銘柄もばらばらで、常時5種のリアルエールが、そして輸入やラガーのケグが10種ほどあるという。ボトルビールはなんと80種、ワインは120種。ワインがこれだけ多いのも、食事にも力を入れていて、いろいろな組み合わせが考えられるからだと言う。たしかにここは食事がおいしいことでも有名だ。

↑Bruschetta With Preserved Tuna And Lancachire Cheese 6.75ポンド   香ばしいフランスパンの上のツナとチーズがエールによく合う

 てっきりフリーハウスかと思ったら、Tied Houseだと言っていた(どこの系列か聞きそびれてしまったが)。2001年のCAMRA Pub of the Yearを取得している。どのCAMRA会員に聞いても、「パブの聖地」みたいなことを言う。リアルエールの管理とこだわりに関しては、エールファンなら誰でも知っている店だ。ロンドンには、「歴史的に古くて有名」という店はたくさんあるが、ビールそのもののおかげで知られている店は数少ない。僕は、ここと、エールを醸造しているPimlicoのThe Orange Breweryくらいしか思い浮かばない。

◆Beer Academy
2Fのファンクションルーム(多機能室)では、Beer Academyと呼ばれる、「ビール学校」なるものが開かれていた。Markも出資者の一人で、これはCAMRAともつながりの深い、ブリュワーたちによる品質管理機構、Cask Marqueから発生した研修プログラムだ。ワインにはWSET(Wine & Spirit Education Trust)があるように、ビールにも教育機関が必要だろうということで、2003年から始まったそうだ。コースは1日で、120ポンド(約2万4000円)と決して安くはない。誰でも受けられるそうで、もちろん外国人だって、醸造関係者じゃなくたってOK。実際に、醸造関係者とそれ以外の人の比率は半々くらいだという。

※順次、以下のような内容をまとめていく予定です・・・
The George Inn

Nags Head

Punch & Judy's

Dirty Dicks

Holy Bush

Ye Olde Trip to Jerusalem

Fighting Cocks

※地図をつくりたいな・・・
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