コラム エールビールがとりもった夫婦
ノッティンガムに住む、エールビール好きの素敵な夫婦訪問! いいパブをいくつも教えてくださり、ありがとうございます!
ノッティンガム郊外に住むリチャード・清子夫妻は、2年前からCAMRAの会員となった。二人にビールへのこだわりぶり、CAMRAへの考えを聞いた。
夫のリチャード(35歳)は13歳の時、18歳を装ってパブに初めて入り、そのパブのビールを全種類飲みつくしたという強者。見て見ぬフリというそこのランドロードの妙なはからいがあったそうだ。その頃から大のビール好き、ことにエールビールが好きだったという。イギリスの中央部、オックスフォードで育ち、大学は南西部のエクセター。公認会計士としてロンドン、ウィンチェスター、オックスフォードを点々としながら、各地の地エールを飲み比べた。そのあとの香港駐在中、イギリスのリアル・エールがどうしても恋しくなり、4年の任期をあきらめ、帰国したという筋金入りの「エール好き」だ。日本でも、「日本酒が恋しいから任期を早めた」という話はあまり聞かない。
「カスク・ビアは新鮮で、しかも生きたままの自然な状態だから、おいしいんです。この国のこの文化を守っていきたいと思ってね」
彼の趣味はサイクリング。この地で、職業心理学コンサルタントをする彼は、オフの時はよく友人と連れ立っていくというが、いつもパブを拠点にコースを決めるという。休憩を取る場所は、少しでも自分の気に入った場所でありたいため、「グッドビアガイド」をフルに使う。
「この本は、リアルエール好きの僕にとってはもうバイブルみたいなもんだよ」
もっともリチャード曰く、これに載るかどうかは、会員とそのパブのオーナーのつながりで決まるから、客観的にそんなに良いパブでなくても毎年掲載されているパブもあるという。そして、一度だけノッティンガム支部の会合に参加したことのある彼は、その印象をこう語る。
「エールビールへの熱烈な愛着というのを、あんまり感じない会合だったね。みんななんとなく来て、なんとなく帰っていったという感じ。エールについて、熱く語れると思っていた僕は、拍子抜けしちゃったよ」
会合が期待していたように活発ではなかったのに失望した彼は、その後一度も会合に足を運んでいない。
どうやら会員といっても、すべての人がCAMRAの活動に賛同し、心酔しているわけではないようだ。
一方、清子さんは、10代の頃からイギリスが好きで、21歳のときに初めて渡英。パブに入ったときに、今まで見たこともないビールを飲んでみて、それ以来エールビールのとりこという。アメリカの投資銀行勤務時代に、ニューヨークやロンドン駐在を経て、香港でリチャードと出会い、ここノッティンガムに移り住んで2年以上になる。リチャードとはビールの好みでも話が合い、それがお二人を強く結びつけた一因でもあるとか。
「英国国内の旅行に行ってもまずパブがどこにあるか、チェックしますね。私にとって、いいパブの条件は、ビールがおいしいことと、雰囲気がフレンドリーなこと、装飾が伝統的なことです」
そんな清子さんのお気に入りはティモシー・テーラー社の「ランドロード」というエールだ。これは94年と99年の2度、CAMRAによりチャンピオン・ビアに選ばれている。僕もGBBFで飲んだが、ホップのアロマとフレーバーがよくきいた、フルーティーな味わいの上品なビールだった。
今までのパブでの思い出は? と聞くと、
「湖水地方のウィンダミアのパブで、テーブルごとに歌を歌うことになり、友達と『上を向いて歩こう』を歌ったことですね」
このほか、女性はハーフパイントで飲むのが常識とされていることにも驚いた。
これからも、二人の飲み歩きは続くだろう。娘のエミリーちゃんが、何歳になったときに、初めてビールを飲ませるのか、が楽しみでもあり、怖くもある…。せめて一桁のときは、まだやめておいてくださいね!
今回は、エミリーちゃんがまだ小さいため、一緒にパブにでかけることはできなかったが、次回は、ぜひパブでビール談義をしましょう。
CAMRAについて知りたい人は清子さんまで
メールアドレス:kiyoko.naish@ntlworld.com
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