スコットランドパブ紀行
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Traquair Houseの近くInnnerleithenのメインストリート |
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2004年9月、ちょっとした用事で渡英したとき、ついでにどこを飲み歩こうか考えた。「スコティッシュエール」とは何か。前から引っかかっていたその問いの答えを探すには、エディンバラに行くのがいちばんいい気がした。ここは何度来ても制覇しつくした感じがしない。古い建物に混じり、伝統的で魅力的なパブが、文字通り「隣り合って」いるからだ。2002年CAMRAのビター部門賞をとった「Deuchars IPA」を作るCaledonian Brewery,日本にも個性的なビールが輸出されているTraquair Houseにも立ち寄った。
1 スコットランドのエールの特徴
2 エディンバラ周辺ブリュワリーめぐり
3 CAMRA会員と回ったエディンバラパブめぐり
1 スコットランドのエールの特徴
ビールの4大原料である、麦芽、ホップ、水、酵母のうち、ホップの産地だけが南部に集中している。そこから遠い北の国スコットランドでは、かつては、ホップでは
なく、モルト味を強く出して、エールの個性を作ってきた。寒冷なので、アルコール
度数も高く、昔は、同じ銘柄でも、60、70、80シリングと値段が上がるたびに度数
も上がった。(シリングは71年までの通貨の単位。80シリング=4ポンドで、1樽の値段。)
ビール愛好家の間では、スコティッシュ・エールという、独特のスタイルにカテゴライズされ、その中でも特に麦汁濃度が濃く、アルコール度数が高いものをスコッチエールScotch aleと称することもある。まるでワインのような個性的なスコッチ
エールは、現代人の好みからは遠いのか、現在ではあまり作られなくなった。
その変わりに、スコットランドで人気なのは、イングランドなど他地域と同じよう
な、ライトなエール。アルコール度数が低く、輸送機関の発達により入手しやすく
なったホップをふんだんに使ったエールだ。残念なことに、地域的な味の個性が
失われつつあると言えよう。かつての「スコテッシュエール」というスタイルはもは
や曖昧で、愛着を込めて当地で作られているエールをそう呼ぶこともある。
◆ スコットランド特有のエールに出会うためには
伝統的スコティッシュ・エールに、どうやってたどり着くか。銘柄を知らなくても、
誰にでも分かる方法を伝授しよう。
※パブで→ずらりと並んだポンプのうち、「80/-」(エイティシリング)
がついているものがあったら、それをオーダーしよう。モルティMalty(モルト味が
強い)で、無骨な北の男のエールといった風情だ。
【銘柄】Caledonian
80/-,Belhaven 80/-
1Pint(568ml)=£2.00〜2.30前後(銘柄・店によって違う)
※スーパーマーケットで→スコットランドではどこも、もちろんスコットランド産の
ビール中心の品揃え。よく置いてある中で、最もスコティッシュ・エール風と言えば
BelhavenBest(缶・440ml、£1.19など)だろう。
アルコール度数は3.5%と低めだ
が、色は濃い目の褐色で、モルトの味がしっかりと利いている。
前掲のCaledonian 80/-(500ml £1.59など)
Belhaven
80/-(500ml£1.65など)もボトルで置いてある。
2 エディンバラ周辺のブリュワリーめぐり
◆カレドニアン醸造所/Caledonian Brewery
エディンバラの街中では、見学できる唯一のビール工場。市内を中心に、650もの
パブに販売しているが、パブを所有しているわけではない。ヨークシャースクエアー
と呼ばれる、上が空いた四角いタンクの中で発酵させる。現代式のタテ長のものに
比べ、洗浄はしづらいものの、発酵の状態を把握しやすいというメリットがある。発酵タンクを使うのが主流で、この方式で醸造しているブリュワリーは少ない。最初に、ブリュワリーの歴史や醸造工程が描かれたパネルのある部屋に通される。工場内を回った後、最後のバーで、できたてのエールを試飲することが出来る。
ブルワリーツアーの最初の部屋 |
古いレシピのノート |
最後の試飲コーナー |
エアープレッシャーを使わない、ここだけの方式でテイスティングスティングできる |
【住所】42
Slateford Road,Edinburgh,EH11
1PH
【Tel】0131-337-1286
【Open】Tour/3:00pm〜(Fri)、10:30〜(Sat)
【Email】ツアー予約用:
bookings@caledonian-brewery.co.uk
(ツアーには事前申し込みが必要)
【Web】http://www.caledonian-brewery.co.uk/events/tour.htm
【Map】http://www.caledonian-brewery.co.uk/directions/index.htm
※カレドニアンで醸造されるビール
ここの目玉商品はDeuchars IPA(アルコール度数3.8%・ジュカーズ・アイピーエーと発音する)は、エディンバラにある600のパブのうち、250以上に置いてある。
2002年CAMRAのビター部門金賞をとったエールで、ホップの香りがウリだが、
バランスが取れているので、ここちよい苦味となっている。
モルティな80/-(同じく4.1%・エイティシリングと発音)、
Golden Promise Organic Ale (同じく4.4%)も人気。
◆トラクエアハウス/Traquair house
イングランドとの境界近く。1107年に公式に記録されたが、それよりも前に作られ
た部分もあるという、スコットランドで最古の邸宅だ。皇族Stuart家の分家が所有。
現在21代、キャサリン・マックスウェル・スチュアートCatherine
Maxwell
Stuartが
切り盛りしている。ほとんどの部屋が一般公開されていて、貴族気分になれる豪華な部屋に泊まることもできる。迷路、ワークショップなどもあり、毎月のように
何かしらイベントをやり、地元の人と積極的に交流。とくに5月にビアフェスティバ
ル、8月にトラクエアフェアで、盛り上がる。どちらもできたてのエールを、普段のよ
うにボトルではなく、樽で楽しめる。
昔の醸造設備についての展示 |
正面が邸宅、写真左の地下部分が醸造所になっている |
レンズ豆のスープとベアーエールを一緒に |
こんな部屋に泊まったら、気分は英国貴族? |
【住所】Traquair
House, Innerleithen, Peebleshire,
【アクセス】エディンバラ市内のバスターミナル、St Andrews Square
から
62番のバスで約50分(1時間に1本)
【Tel】01896-830323
【Open】4.5.9.10月12:30〜17:30 6〜8月 10:30〜17:30 11〜3月は閉鎖。
Mon
- Sat 11-11, Sun closed【料金】大人£5.50 子ども£3
【Email】enquiries@traquair.co.uk
【Web】http://www.traquair.co.uk/
【Map】http://www.traquair.co.uk/map.html
※トラクエアハウスエールの誕生
最初の醸造の記録があるのは1566年。19C頃までトラクエアハウスに勤める
人々のためにエールが醸造されていたが、いつしか廃れた。1965年に、
今は亡きキャサリンの父親、ピーター・マクスウェル・スチュアートPeter
Maxwell
Stuart氏が、一般公開の準備をしていると、昔の醸造器具を発見。初めてここで
エールが作られていたことが分かった。彼は招いたブルワーとともに、他の
ビール工場にて製法を学んだ。現在スコットランドに約25あるマイクロブリュワリー
の走りだ。実はラガー酵母が使われている、つまり下面発酵というのが珍しい。
【Web】http://www.traquair.co.uk/beer.htm
※トラクエアのエールの特徴
ボトル中心。一般的にスコティッシュ・ストロング・エールと呼ばれる、モルティ
で、麦汁濃度、アルコール度数の高いエール。100年前からの木製樽で発酵
させているので、その木の香りもする、トラクエアハウスエール
(Traquair
House Ale・アルコール度数7.2%)、コリアンダーを加え、さらに香りを
複雑にしたジャコバイトエール(Jacobite
ale・同8.0%)はポピュラーで、日本にも
輸出されている。さらに、ライトで、パブでリアルエールとしても飲まれる
ベアーエール(Bear Ale
同5.0%)、リクリスliquorice のエキスを入れた
レアーズリカー(The Lairds Liquor 同6%)もある。
【Web】http://www.traquair.co.uk/brewery.html
発酵に木製樽を使っているのはここしかないらしい。 |
3 CAMRA会員と回ったエディンバラパブめぐり
さて、6年前に行ったエディンバラのパブを、改めてもう一度回って「スコティッシュエール」とは何たるかをもう一度探そうと思った。久しぶりに、スコテッシュパブの特長である、仕切りのないパブを飲み歩くのもいいと思った。いつもやりとりしているCAMRA本部の人にその話をすると、パブリングメイトとしてはうってつけの人を紹介してくれた。CAMRA副会長のColin
Valentine氏である。しかも僕がエディンバラに行くその日は、エディンバラ支部のメンバーで、パブクロールがあると言う。「一緒に回るかい?」とメールで聞かれ、「Why
not?」とすぐさま返信した。
パブに繰り出して酔っ払う前に、スコットランドのパブの特徴を少し・・・。
■スコットランドのパブの特徴
イングランドのパブは、特にヴィクトリア時代に、身分ごとに飲む部屋が分かれてい
て、今でもその名残が残る。スコットランドでは、そこまで身分の差異化はされな
かったので、結果パブも一つの大きな部屋に、丸いカウンターバーがあって・・・
と、すべてにおいて皆平等な印象のつくりが多い。雰囲気はフレンドリーで、アイ
リッシュパブに似ているともいえる。通常は、リアルエールを井戸水のような減圧式
のハンドポンプhandpumpでサーブするが、スコットランドでは、エアーコンプレッ
サーを使って、空気を送り込むことで、リアルエールを押し出す方式をとることもあ
る。イングランドのような、井戸水式(減圧式)で押し出すと、途中のパイプにビールが残ってしまい、それが雑味を生む原因になるが、この方式だと常にフレッシュなリアルエールがサーブできる。ただし多少炭酸ガスがビールに溶け込むので、リアルエール本来の味は少しは損なわれているかもしれない。カウンター上のポンプ部分をトールフォントtall fountと呼ぶ。
地下に空気圧を作る装置が置いてある |
この方式では樽に長いバーを指す |
最後のほうは泡をあふれさせる |
予備知識はこれくらいにして、Good Beer Guideを片手に、「リアルエールがうまく、歴史のある典型的スコティッシュパブ」を回ってみることにする。
※Mapの番号は、最後に載せている地図上の位置です。
◆アボッツフォード/Abbotsford・・・Map@
建築家Peter Lyle
Hendersonによって、1902年に建てられた、Jenner氏が所有するア
パートの1F。入口の上に表示されているのはライセンス所有者Colin
Grantの名前。
パブの名はサー・ウォルター・スコットの中世のスタイルの家にちなんで名づけられ
た。一部屋からなる典型的なスコティッシュパブのつくり。昼下がりはビジネスマン
でごった返す。リアルエールはトールフォントでサーブされる。
【ここで飲めるScottish
Ale】Caledonian 80/-
【住所】3-5 Rose Street Edinburgh, Midlothian, EH2
2PR
【最寄駅】Warverley【Tel】0131-225-5276
【Open】Mon - Sat 11-11, Sun
closed
【Web】http://www.camra.org.uk/SHWebClass.ASP?WCI=ShowDoc&DocID=453
【Map】http://www.streetmap.co.uk/newmap.srf?x=325508&y=674010&z=0&ar=Y
Waverley駅から徒歩5分 |
大きなフロアの真ん中にカウンターがある |
◆ ギルフォード・アームズ/Guilford Arms・・・MapA
エディンバラのメインストリート、プリンスズストリートから路地を入ってすぐ。荘
厳な回転扉を開けると、入って左手にはカウンター、右奥にはバルコニーのような2
階席が見える。大きな窓、ビロードのカーテン、厚いじゅうたん、などヴィクトリア
調の装飾。部屋が区切られているわけではないので、イングリッシュスタイルの、装
飾だけを取り入れたといえる。客はみな品がいい。前出のトラクエアのBearAleが置
いてある。
【ここで飲めるScottish
Ale】Caledonian 80/-, Bear Ale
【住所】1 West Register Steet,EH2
2AA
【最寄駅】Warverley
【Tel】0131-556-4312
【Open】11am-11pm(Fri、Satは深夜まで)、12:30am-11pm(Sun)
【Web】http://www.goodguides.co.uk/pubs/pubdetails.asp?pub_id=2060859839
【Map】
http://www.streetmap.co.uk/streetmap.dll?G2M?X=325756&Y=674048&A=Y&Z=1
コーナーから入る |
2Fから見下ろした風景 |
◆カフェ・ロイヤル/Cafe Royal・・・MapB
ギルフォードアームズの裏手に当たる場所で、同じ建物の中。入ると、下に敷き詰め
られた大理石や高い天井、荘厳な装飾に圧倒されるだろう。この建物自体、1862年に
建てられ、3人のオーナーにより、少しずつアレンジされてきた。入ってすぐの低い
バー(通称the
Circle Bar)と、右手に入る1段高くなった部屋(通称the
Oyster
Bar)
に分かれる。ベンジャミン・フランクリンなどの歴史的な人物のタイル画が有名。
【ここで飲めるScottish
Ale】McEwans 80/-
【住所】19 West Register Street Edinburgh EH2
2AA
【最寄駅】Warverley【Tel】0131-556-1884
【Open】Mon - Wed 11-11, Thu 11-12, Fri
& Sat 11-1, Sun 12-11
【Web】http://www.camra.org.uk/SHWebClass.ASP?WCI=ShowDoc&DocID=455
【Map】
http://www.streetmap.co.uk/streetmap.dll?G2M?X=325756&Y=674048&A=Y&Z=1
金融の富豪たちが集まってきた店なのだろうか |
この裏手が、上のギルフォード・アームズ。ワンブロックすべてがパブということになる |
◆ ボウ・バー/Bow Bar・・・MapD
オールド・タウンの中心Victoria
Streetにある、ウィスキーとビールで、地元の
人にも評判の店。ウィスキーは140種以上。ラム、ジンも豊富。平日、週末を問わず
にぎわっている。犬も可。リアルエールはトールフォントでサーブ。マネージャーの
女性ヘレンは、プロ意識が高く、よりよいビール、ウィスキーを出すための情熱の
ある人。食べ物はパイなどの簡単なものだけ。£1.30〜。市内のCAMRA会員
(先に触れた、リアルエールの復興運動をしている消費者団体)も集まる。
【ここで飲めるScottish
Ale】Belhaven 80/-
【住所】80 West bow, Victoria Street,Edinburgh, EH1
2HH
【最寄駅】Warverley
【Tel】0131-226-7667
【Open】12-11:30,12:30-11(Sun)
【Web】http://travel.yahoo.com/p-travelguide-2795135-bow_bar_edinburgh-i
【Map】
http://www.streetmap.co.uk/streetmap.dll?G2M?X=325513&Y=673442&A=Y&Z=1
グラスマーケットからヴィクトリアストリートに入る |
04年当時マネージャーのヘレンは、多忙にも関わらずトールフォントについて熱く語ってくれた「この注き方がベストなのよ!」 |
スコッチ・ウィスキーが100種類以上 |
◆ ブルー・ブレザー/Blue Blazer・・・MapF
看板として、文字と絵の2次元ではなく、その名の通り、「青いブレザー」が立体的
に掲げてある。入ってすぐの部屋と、右奥の部屋との2つに分かれている。
CAMRAが選ぶ、2004年の「Pub
of
year」を受賞した。ビールの管理がいいのは
もちろん、スタッフがフレンドリーで、しかもビールの知識もあると評判だ。
グラスマーケットとロジアンロードの間の角にある。時間帯によっては、近くの
Lyceum
theatreの帰りの人でごった返すことも。
【住所】2 Spittal Street, EH3 9DX
【ここで飲めるScottish
Ale】Belhaven
80/-
【最寄駅】Haymarket
【Tel】0131-229-5030
【Open】11am(Sun:12:30am)-1am
【Web】http://www.bestpubs.co.uk/layout0.asp?pub=105813
【Map】
http://www.streetmap.co.uk/streetmap.dll?G2M?X=324958&Y=673199&A=Y&Z=1
V字路の根本にある |
珍しい、3次元の看板 |
◆ バーツ・バー/Bert’s Bar・・・MapG
2軒のパブが隣り合っている珍しいロケーション。隣りはTennentというビール工場
直営のパブとのこと。カウンターにはずらりと8本のリアルエールのポンプが並び、
チョイスが多い。イングランドスタイルの、いくつかの部屋に分かれているパブで、
カウンター横のスナッグ(個室)へは、専用のサーブ窓口がある。タイル細工や、
使われている木のつくりがなんとも重厚。パイ類が有名で、注文できるのは
12:00〜14:00と17:00〜21:00。
【住所】29-31
William Street, Edinburgh, EH3 7NG
【ここで飲めるScottish Ale】Caledonian
80/-
【最寄り駅】Haymarket
【Tel】0131-225-5748【Open】11:00-23:00(Thu,Fri,Sat〜24:00)
【Web】http://www.pub-explorer.com/sescotland/pub/bertsbaredinburgh.htm
【Map】http://www.streetmap.co.uk/newmap.srf?x=324398&y=673615&z=0&ar=Y
イングランドのパブに近く、いくつかの部屋に分かれる。このカウンター前のトビラを閉めると個室になる |
エディンバラにはこのようにパブが隣り合っていることが多い気がする。なぜ? 競合しないの?それほどお互い、ビール、食べ物の個性を出せるということか・・・ |
8本ポンプがあるが、よく見ると同じ種類のもある。混んでいるときは、注ぎ口が2箇所ないと追いつかないのだ |
◆ゴールデン・ルール/Golden Rule・・・MapH
10年以上、Good Beer
Guideに掲載されている、ビール管理には定評のあるローカル
パブ。カスクマークも取得。入ってすぐの部屋のほかに、右手には一段下がった部屋
もある。厚いじゅうたん、席を仕切るためのパーテーションなどから、ヴィクトリア
調のパブといえる。スナック(パイなどの軽い食べ物)は一日中オーダー可能
(£1.50〜)。ここからカレドニアン醸造所へも歩いて10分で行けるので、見学の
前後に立ち寄るのもいいだろう。
【ここで飲めるScottish
Ale】Caledonian 80/-
【住所】30 Yeaman Place, Fountainbrige, EH11
1BU
【最寄駅】Haymarket
【Tel】0131-229-3413
【Open】11am-11.30pm Mon-Thur, Sat;
11am-midnight Fri; 12.30-11pm Su
【Web】http://www.bestpubs.co.uk/layout0.asp?pub=105945
【Map】
http://www.streetmap.co.uk/streetmap.dll?G2M?X=323950&Y=672477&A=Y&Z=1
中は、細かい部屋に分かれているイングランド方式のパブ |
MAP・・・見づらくてすみません。
※Good Beer Times 第5号から引用させていただきました。(石井源太さん作です)
■案外ビールに無関心? CAMRAのパブクロール
パブクロールで行ったのは、Golden Rule → McCowans★→ Scotish Courage Brewry★→ Berts Bar★ →Thompsons Bar →Blue Brazer → Bow Bar でした。このうち★は当初の予定になかったのですが、僕のためにわざわざ行ってくれたところです。
Golden Ruleに13時に待ち合わせして、来たのは4人。回りながら、ColinはGood
Beer Guideを各店に渡していました。取材協力店には、このように進呈し、CAMRAのチラシを置いてもらっているそうです。
常にフラッグシップのエールをハーフパイントで注文し、テイスティングしながらなにやら紙に書き付けている人もいるかもと思えば、ひたすらパイントグラスでおしゃべりに興じている人もいました。僕も話にどんどん入っていかないと、あっという間に置いていかれてしまいます。ここでも、「よそ者をあまり輪の中に入れようとしない」「相手の様子が特に困っていなさそうであれば、ほうって置いてあげるのがマナーである」というイギリス人気質を見た気がします。スコットランドでは、そんなことはないと思っていましたが・・・。40代のコリンのほかは、ダーラムから最近引っ越してきた30代男性、あとは地元在住の40代男性2人でした
Bow Barがゴール地点です。ほかの3グループは、違うパブを回ってきていますが、やはり最後はここを目指します。僕は、みなが集まった後、集会か何か始まるのかと思いましたが、ただ普通に飲んでいるだけでした。本当に、純粋に「パブクロール」です。
最後にコリンにお礼を言いつつ、いろんな人にぶつけてきた疑問を、聞いてみました。
「ところで、何でトールフォントで注ぐの? どういうメリットがあるの?」
「・・・さあ、注ぐ様子を客が見られて、アピールになるからじゃない?」
僕は、わが耳を疑いました。つまり、蛇口の位置が低いハンドポンプに比べて、トールフォントのほうが注ぎ口が高いので、客に見えて、店にとってアピールになるから、との答えなのです。・・・CAMRAの副会長なのに、こんな答えでいいのか・・・。案外CAMRAの会員の中には、ひたすら飲むのが好きで、そのおいしさの理由についてまでは無関心な人もいるのかも知れません。
しかし、副会長がこうだとなると、この疑問への答えは、いったい誰に聞けばいいんだ? 僕のエジンバラ滞在では、手にしたエールの泡のような、もやもやしたものが胸に広がりっぱなしでした。誰かこのもやもやを晴らしてくれる人、いませんかぁ?
追 この情報は、2005年1月に配信された朝日インターナショナルリミテッド作成のメーリングリスト、
イギリス情報マガジンで執筆したものをベースにしています。
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