パブとは? (2009/4/2更新)
oldleign,Ireland
パブは、2段階で定義した方がいいように思います。
まず、根源的には、Public House(公共の家)の略で、居酒屋だけでなく宿屋、雑貨屋、はたまた地域情報センターの役割をも果たす総合施設のことを指します。イギリス・アイルランドで発生し、現在もその原型をわずかにとどめつつ残存しています。
ただし、現在、とくにロンドンやダブリンなどではそんなパブはほとんど残っちゃおりません。一般的には、ビールを始めとするアルコール・食べ物を給する大衆居酒屋全般を指すわけです。
パブはイギリスで7万軒、アイルランドで1万軒ある(イギリスの郵便局は2万弱)といわれており、前者の意味のパブはもはや少ないが、後者の意味でなら両国のみならずアイルランド人の移民に伴って日本も含めて全世界に普及しています。東京に最近数多く出来てきたパブも、そんなパブのひとつなのです。
2000年当時のイギリスのビールの業界団体BLRA(Brewers&Licenced Retalers Association、現BBPA=British Beer&Pub Association)の定義によれば、パブはイギリスの地方の社会の中心的な役割を果たしており、平均して年間約1000万円を地元経済に貢献しているそうです。もし1軒のパブがつぶれたらその地方は多大な打撃を受けます。
BLRAによる、パブに関する紹介文(訳)
■パブに関するマメ知識(『パブとビールのイギリス』より)
1 2001年時点で、36点のパブがナショナルトラストの所有になっている
2 パブカウンターにはイギリス人が大好きな「列をなす」(making a queue)ことがない。唯一の無礼講の場?
3 パブには、旅行者を悩ますあのチップという習慣はない。ただパーマンにおごることがあるくらいか。これも無礼講?
4 他のヨーロッパ諸国では、教会がパブのような役割を果たしているが、イギリスではヘンリー8世がローマから断絶して以来、教会の力が弱かったから、パブが発達したのではないか。18世紀が、パブのもっとも栄えた時期。19世紀では、部屋ともに機能が細分化されていった。(これのみ『酒場の文化史』87Pより)
■もっと詳しく知りたい人は
パブの発祥と歴史
パブ・ビールに関する年表
パブの構造
パブの看板
ブリテッシュパブとアイリッシュパブとの違い